スピードの差

週末にビデオ収録しておいたNHKのスーパープレゼンテーションという番組を見ました。流石、短い時間で人の心をとらえる一流のプレゼンテーターは凄い、その中のひとつにあった世界の人口動態が1960年から2060年の100年間でどうなっていくのか、人口爆発を防ぐには実は最貧国の子供の死亡率を下げることであるという話はとても印象的でした。

さて、テクノロジーの進化はいつの時代も「世界のフラット化」をもたらすと言われています。フェイスブックの場合はどうでしょう。理論的に言えば、世界中の人々と友達になれるわけですが、実際には国外の友達は10~15%だそうです。世界中で投資されている資本のうち、企業が自国以外で投資している割合は2005年の数字を見る限り10%に満たないとのこと、市場のグローバル化が叫ばれている中で、意外な数字ですね。

国と国との差異・障壁は元ハーバード大学パンカジ・ゲマワット教授によれば、「文化的」、「制度的・政治的」、「地理的」、「経済的」の4つの側面があります。これらは長年に渡ってそれぞれの国で培われたものです。今、起きている世界市場の変化のスピードと国どうしや人種間の相互理解のスピードには大きな差があるような気がしています。

では、後者のスピードをあげるにはどうすれば良いのでしょうか。まずは「違う」ということを理解し、多様性を受け入れることが出発点なのかもしれません。

拡張するデジタル

マーケティングにおけるデジタルというと広告コミュニケーション戦略の延長でのみ考えてしまいがちです。でもそれは間違いです。しばらく斬新なニュースがなかったナイキですが、2010年に立ち上げた新部署「ナイキ・デジタルスポーツ」から今年1月Fuel Bandという新製品が発売されました。ナイキといえば利用者が自分のスポーツ記録を管理できるナイキプラスで一世風靡したことは皆さんもよくご存知だと思います。すでに500万人がナイキのサイトを利用して、自分のランニングを管理しているそうです。

さて、このリストバンドは着用者の消費エネルギーを記録する装置で、アスリートはもちろん、一般の人たちでも利用できるガジェットです。一個149ドルあまりの売り上げもさることながら、このバンドを通して消費者データを詳細に把握でき、コミュニティを形成し、ユーザーとこれまで以上にブランドとの絆を結ぶ装置となるのです。ユーザーはこのガジェットを使って自分のカロリー消費や一日に歩いた歩数を保存し、管理します。これを結ぶのがインターネットであり、アプリであり、私たちの仕事でもあるのです。つまり、インナーのシステムでないので管理画面ひとつとってもデザイン力やナイキらしいクリエーティブが求められるからです。Fuel Bandのお披露目の席でナイキのパーカーCEOはナイキ・エアと並ぶ商品と紹介したそうです。

デジタル中心にシフトするということは、過去の範疇に収まらないマーケティングの拡大を意味することでもあります。

滝桜を見て

「今年の桜は見事でしたね」という声をよく聞きます。例年よりも寒かったせいで忍耐があるうえに、ずるずるとではなく一斉に咲いたからではないかなどと感じたりしています。東京の桜も良かったですね。

さて、日本人が何かと好む「日本三大○○」ですが、では日本三大桜を皆さんご存じでしょうか。調べてみると、福島「三春の滝桜」、山梨「山高神代桜」、岐阜「根尾谷淡墨桜」と書かれていました。そのうちの山梨の実相寺の境内にある山高神代桜はなんと樹齢約2000年といわれ、樹高は10.3m、目通り幹周約10mもある日本で最古の巨樹。国の指定天然記念物で、「新日本名木100選」にも選定されているそうです。岐阜の淡墨桜とは、散りぎわに淡い墨を引いたような色になることから名付けられたそうです。樹齢1500年あまりの巨木は、過去数回にわたる枯死の危機を乗り越えてきたたくましい木です。

そして福島にある「三春の滝桜」は福島第一原子力発電所からそれほど遠くないほぼ西にあります。樹齢1000年を超えるベニシダレザクラ。枝の広がりは東西25m、南北20mあり、国の天然記念物となっています。どちらにも多くの人々が遠くから見物に訪れるのはなぜでしょうか?ひとつは樹齢1000年以上という生に対する「畏敬」、もう一つは一年に1回限り、ほぼ1週間の見ごろしかない華麗に対する「儚さ、ではないでしょうか。特に三春の滝桜は震災、原発事故の近くにあって人々に格別の思いを生んでいる気がしています。

NHKニュースなどにも満開の姿を取り上げられたせいか、連休に福島県を訪ねた際、ぜひこの滝桜を見たいと思ったのですが、インターチェンジの出口前から2KM以上の大渋滞、残念ながら見ることはできませんでした。本物にはたどり着けなかったのですが、三春町の農家の庭にあった滝桜を見て、思いを馳せることは叶いました。

2012.4 NY便り

短い日程ながらの米国出張から間もなく戻るところです。意外と雨の多いニューヨークのこの時期で、到着した日は最高気温28度と暑いいぐらいの陽気、終日カンファランスで部屋にいるのはもったいない状況でした。中国に行ったばかりのせいか、NYのエネルギーもいつもより感じない?いや、いつもながら街はさまざまな国の観光客であふれ、ビジネスの人々は足早に歩いていました。何人かに聞くと景気は良くなりつつあるとのこと、大統領選挙とオリンピックの年の気分は健在なようです。

さて、マーケティングコミュニケーションの話題はモバイル、ソーシャル、ストーリーテリングビデオなど、やはりスマホの普及とソーシャルの台頭という2大変化が中心です。その中でGOOGLEが試みたRE:BRIEFプロジェクトには心を動かされました。1960年代に活躍した広告界の巨星たち(もう全員がほとんど80歳以上)にもう一度NYに集まってもらい、彼らが作った偉大な広告、たとえば、AVISのNO2キャンペーンなど、その精神を生かしながら、今のデジタル世界でREBUILDさせようというコンセプトです。クライアントも好意的に参加して、コカコーラ、アルカセイザー、エイビス、ボルボの4つのブランドでクリエイティブが企画・制作されました。今のデジタルクリエーターたちとかつての巨星クリエーターのコラボを通じて生まれたクリエイティブを見ると、アイデアが一番、そしてシンプルに、といった共通点とインタラクティブやソーシャルというかつてなかったテクノロジー視点の組み合わせであると実感できます。

それにしてもこういうことをやるGOOGLEが好きになりました。

ブランドの理想

昨年米国で出版されたマーケティング関連書の中でベスト3の書籍に関するレポートがあります。マーケティングの最新潮流を見るには良いかもしれませんね。読んでみて面白かったのはマーケティングの体裁をとりつつも、どれもがマーケティングを心から信奉していないという点です。確かに米国や日本において従来のマスマーケティングは峠を越えて、同じやり方の延長ではかつてのような効果を生むことができなくなりました。といってそれに代わる方法を持っていないので何とか手を変え、品を変えながらベターな手段を探し続けています。広告やマーケティングに従事する多くの人々が実感しているのではないかと思います。

そんな中で元P&GのCMOだったジムステンゲル氏が昨年12月に「GROW」という本を出版しました。この本も上記の流れを受けています。2000年から2010年の十年間で著しく成長したブランドを調べてステンゲル50と名付けたリストにまとめました。そして優れた企業は優れた理想「BRAND IDEAL」があると断言したのです。ブランドについて昔からミッション、アイデンティティ、フィロソフィーなど似たような言葉は語られてきました。どれも重要な概念ですが、ブランドの理想はこれらの上位概念であると思います。

ではなぜ今「BRAND IDEAL」なのでしょうか。それは小手先ではだめだという裏返しでもあります。365日社会やユーザーから評価されるようになった今、企業が触れ合うすべての人を結びつけるのが「理想」なのです。その意味では企業やブランドはブレない理想を軸に誠実なビジネスをしていくだけでなく、それをユーザーや社会が一緒に感じられるようにしなければなりません。コミュニケーションのフロンティアもここにある気がしています。

About

BBmedia inc. 社長
佐野 真一

まさか、自分がブログをするなんて、日記といえば小学生のころ夏休み三日坊主で書いただけ。めんどくさいものが苦手、人に自慢話やお説教するのも嫌いな自分が何故。。。「読んでくれた人」にその理由がわかってもらえたら幸せです。

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