2012年

スピードの差

週末にビデオ収録しておいたNHKのスーパープレゼンテーションという番組を見ました。流石、短い時間で人の心をとらえる一流のプレゼンテーターは凄い、その中のひとつにあった世界の人口動態が1960年から2060年の100年間でどうなっていくのか、人口爆発を防ぐには実は最貧国の子供の死亡率を下げることであるという話はとても印象的でした。

さて、テクノロジーの進化はいつの時代も「世界のフラット化」をもたらすと言われています。フェイスブックの場合はどうでしょう。理論的に言えば、世界中の人々と友達になれるわけですが、実際には国外の友達は10~15%だそうです。世界中で投資されている資本のうち、企業が自国以外で投資している割合は2005年の数字を見る限り10%に満たないとのこと、市場のグローバル化が叫ばれている中で、意外な数字ですね。

国と国との差異・障壁は元ハーバード大学パンカジ・ゲマワット教授によれば、「文化的」、「制度的・政治的」、「地理的」、「経済的」の4つの側面があります。これらは長年に渡ってそれぞれの国で培われたものです。今、起きている世界市場の変化のスピードと国どうしや人種間の相互理解のスピードには大きな差があるような気がしています。

では、後者のスピードをあげるにはどうすれば良いのでしょうか。まずは「違う」ということを理解し、多様性を受け入れることが出発点なのかもしれません。

拡張するデジタル

マーケティングにおけるデジタルというと広告コミュニケーション戦略の延長でのみ考えてしまいがちです。でもそれは間違いです。しばらく斬新なニュースがなかったナイキですが、2010年に立ち上げた新部署「ナイキ・デジタルスポーツ」から今年1月Fuel Bandという新製品が発売されました。ナイキといえば利用者が自分のスポーツ記録を管理できるナイキプラスで一世風靡したことは皆さんもよくご存知だと思います。すでに500万人がナイキのサイトを利用して、自分のランニングを管理しているそうです。

さて、このリストバンドは着用者の消費エネルギーを記録する装置で、アスリートはもちろん、一般の人たちでも利用できるガジェットです。一個149ドルあまりの売り上げもさることながら、このバンドを通して消費者データを詳細に把握でき、コミュニティを形成し、ユーザーとこれまで以上にブランドとの絆を結ぶ装置となるのです。ユーザーはこのガジェットを使って自分のカロリー消費や一日に歩いた歩数を保存し、管理します。これを結ぶのがインターネットであり、アプリであり、私たちの仕事でもあるのです。つまり、インナーのシステムでないので管理画面ひとつとってもデザイン力やナイキらしいクリエーティブが求められるからです。Fuel Bandのお披露目の席でナイキのパーカーCEOはナイキ・エアと並ぶ商品と紹介したそうです。

デジタル中心にシフトするということは、過去の範疇に収まらないマーケティングの拡大を意味することでもあります。

滝桜を見て

「今年の桜は見事でしたね」という声をよく聞きます。例年よりも寒かったせいで忍耐があるうえに、ずるずるとではなく一斉に咲いたからではないかなどと感じたりしています。東京の桜も良かったですね。

さて、日本人が何かと好む「日本三大○○」ですが、では日本三大桜を皆さんご存じでしょうか。調べてみると、福島「三春の滝桜」、山梨「山高神代桜」、岐阜「根尾谷淡墨桜」と書かれていました。そのうちの山梨の実相寺の境内にある山高神代桜はなんと樹齢約2000年といわれ、樹高は10.3m、目通り幹周約10mもある日本で最古の巨樹。国の指定天然記念物で、「新日本名木100選」にも選定されているそうです。岐阜の淡墨桜とは、散りぎわに淡い墨を引いたような色になることから名付けられたそうです。樹齢1500年あまりの巨木は、過去数回にわたる枯死の危機を乗り越えてきたたくましい木です。

そして福島にある「三春の滝桜」は福島第一原子力発電所からそれほど遠くないほぼ西にあります。樹齢1000年を超えるベニシダレザクラ。枝の広がりは東西25m、南北20mあり、国の天然記念物となっています。どちらにも多くの人々が遠くから見物に訪れるのはなぜでしょうか?ひとつは樹齢1000年以上という生に対する「畏敬」、もう一つは一年に1回限り、ほぼ1週間の見ごろしかない華麗に対する「儚さ、ではないでしょうか。特に三春の滝桜は震災、原発事故の近くにあって人々に格別の思いを生んでいる気がしています。

NHKニュースなどにも満開の姿を取り上げられたせいか、連休に福島県を訪ねた際、ぜひこの滝桜を見たいと思ったのですが、インターチェンジの出口前から2KM以上の大渋滞、残念ながら見ることはできませんでした。本物にはたどり着けなかったのですが、三春町の農家の庭にあった滝桜を見て、思いを馳せることは叶いました。

2012.4 NY便り

短い日程ながらの米国出張から間もなく戻るところです。意外と雨の多いニューヨークのこの時期で、到着した日は最高気温28度と暑いいぐらいの陽気、終日カンファランスで部屋にいるのはもったいない状況でした。中国に行ったばかりのせいか、NYのエネルギーもいつもより感じない?いや、いつもながら街はさまざまな国の観光客であふれ、ビジネスの人々は足早に歩いていました。何人かに聞くと景気は良くなりつつあるとのこと、大統領選挙とオリンピックの年の気分は健在なようです。

さて、マーケティングコミュニケーションの話題はモバイル、ソーシャル、ストーリーテリングビデオなど、やはりスマホの普及とソーシャルの台頭という2大変化が中心です。その中でGOOGLEが試みたRE:BRIEFプロジェクトには心を動かされました。1960年代に活躍した広告界の巨星たち(もう全員がほとんど80歳以上)にもう一度NYに集まってもらい、彼らが作った偉大な広告、たとえば、AVISのNO2キャンペーンなど、その精神を生かしながら、今のデジタル世界でREBUILDさせようというコンセプトです。クライアントも好意的に参加して、コカコーラ、アルカセイザー、エイビス、ボルボの4つのブランドでクリエイティブが企画・制作されました。今のデジタルクリエーターたちとかつての巨星クリエーターのコラボを通じて生まれたクリエイティブを見ると、アイデアが一番、そしてシンプルに、といった共通点とインタラクティブやソーシャルというかつてなかったテクノロジー視点の組み合わせであると実感できます。

それにしてもこういうことをやるGOOGLEが好きになりました。

ブランドの理想

昨年米国で出版されたマーケティング関連書の中でベスト3の書籍に関するレポートがあります。マーケティングの最新潮流を見るには良いかもしれませんね。読んでみて面白かったのはマーケティングの体裁をとりつつも、どれもがマーケティングを心から信奉していないという点です。確かに米国や日本において従来のマスマーケティングは峠を越えて、同じやり方の延長ではかつてのような効果を生むことができなくなりました。といってそれに代わる方法を持っていないので何とか手を変え、品を変えながらベターな手段を探し続けています。広告やマーケティングに従事する多くの人々が実感しているのではないかと思います。

そんな中で元P&GのCMOだったジムステンゲル氏が昨年12月に「GROW」という本を出版しました。この本も上記の流れを受けています。2000年から2010年の十年間で著しく成長したブランドを調べてステンゲル50と名付けたリストにまとめました。そして優れた企業は優れた理想「BRAND IDEAL」があると断言したのです。ブランドについて昔からミッション、アイデンティティ、フィロソフィーなど似たような言葉は語られてきました。どれも重要な概念ですが、ブランドの理想はこれらの上位概念であると思います。

ではなぜ今「BRAND IDEAL」なのでしょうか。それは小手先ではだめだという裏返しでもあります。365日社会やユーザーから評価されるようになった今、企業が触れ合うすべての人を結びつけるのが「理想」なのです。その意味では企業やブランドはブレない理想を軸に誠実なビジネスをしていくだけでなく、それをユーザーや社会が一緒に感じられるようにしなければなりません。コミュニケーションのフロンティアもここにある気がしています。

満足する心

京都の龍安寺に有名なつくばいがあります。つくばいとは茶室に入る前に手や口を清めるための手水を張っておく石のことですが、ここに「吾唯知足」(われ、ただ足るを知る)の4字が刻まれています。その意味合いから石庭の石が「一度に14個しか見ることができない」ことを「不満に思わず満足する心を持ちなさい」という戒めでもあるといわれます。

前々回のブログで本当に成功するためには公私にわたって多面的な目標を持って、自分の関わる活動にタイミングを計りながら全力を注ぐこと、そしてバランスを失わないことが重要であると述べました。目標は一つに絞って複数の目標を持つなどは欲張りだと思う人もいるかもしれません。でも瞬間は別として長い人生においては、一度に全部を手に入れるなんて考えずに、あるときにはひとつのことに集中し、別の状況となれば、すぐさま視線と気持ちを入れ替えて対処していく、こういう人生のほうが心の充足感は高まり、自分にとっても周囲にとっても幸せをもたらすのではないかと思います。

しかし、結局のところそれぞれの目標達成において満足感を持てるかどうかは自分自身の気持ちの中にあります。そして、心の満足を高めるには「もっと」や「MORE」の解毒剤が必要です。それが「吾唯知足」であり、英語でいう「JUST ENOUGH」の精神だと思うのです。大志を目指すエネルギーや経済社会の活力を失わずに「十分」という言葉の意味をきちっと理解して、「これで十分である」という判断を下せるようになりたいものです。

年中無休

先日、あるクライアントさんから店頭の棚の前でスマホを使って買おうとする商品をチェックしている人の割合がどのくらいあるかについてお話をお聞きしました。なんと2割以上いたとのこと、もちろんカテゴリーによって違いはあるでしょうが、驚きです。3年後には携帯電話の7~8割がスマホになることを予想するとこの割合はますます高まることでしょう。

マス広告は300年以上前からマーケターとメディアを支え続けてきました。そしてTVの登場からつい最近まで続いてきた約50年はプロダクトに主眼を置く広告やマーケティングから、消費者の心に訴えるメッセージにシフトしながらもマス広告はほぼ健在でした。しかし、これからはどうでしょうか。

もはや多くのブランドが広告コピーと関係ない無数の会話の中において年中無休で評価され続けています。小手先や見せかけは通用しません。さらに、ブログや口コミサイトだけの時代からSNSはどんどん進化しています。評判をチェックするだけでなく、それぞれの特徴を生かしたサービスが次々と登場することで人とブランドの関係づくりも進化していくと思います。

さて、ドーナッツを題材にしてソーシャルメディアを一言でたとえるなら、、、なるほどですね。

色褪せない成功

「あなたの人生における成功とはいったいなんですか?」、こんな質問をされたら皆さんはどのように答えますか。単純に自己目標を達成できた時などという答えでは不十分のような気がします。今回は一過性でない永続的な成功について考えてみましょう。HBR{生き方と働き方の授業}のレポートには成功のためには次の4つの必須要素があると書かれています。

1 幸福感  日々の毎日から喜びと満足感を得ること
2 達成感  何かの業績で他から抜きんでること
3 存在意義  自分の身近な人にとって意味のある存在でいること
4 育成  自分の価値観や業績によって、だれかの未来の成功を助けること

この4つの要素は一見仕事中心のように見えますが、家庭を含めて人生全体にもあてはまると思います。なぜならば、これら成功の4要素をひとつの活動から得られることは稀だからです。何か食べ物の栄養素と同じような性質があるような気がします。たとえば、仕事がきつくてストレスがたまった時には息抜きをする、我欲が強い時には社会貢献の活動に参加する、プライベートで得られる要素と仕事から得られる要素を掛け合わせる、といったようにバランスよく4つの要素を摂取することが良いかもしれません。
いつまでも長続きする色褪せない成功のヒントは多面性とバランスにあるようです。

信頼の基準

米国のPR会社エデルマン(Edelman)が調べた2006年の調査で、企業を信頼する基準としてトップに選ばれたのは「高品質の商品やサービス」でした。ところが2010年には、「品質」は3位に落ちて、かわって回答者の83%に選ばれて1位に輝いたのは「透明性と誠実な慣行」です。

たった5年間での変化、これはいったい何を意味するのでしょうか。ひとつは世界的に見て多くの業界において品質力が向上し、ブランド間に圧倒的な差異がなくなったことだと思います。それは家電における韓国や中国、台湾の製品を見れば明らかです。もうひとつ、こちらのほうが重要だと思いますが、社会が企業のコアバリュー(基本理念)に再注目しているからだといえます。オキュパイ・ウォールストリートのデモ看板を見ればわかるように、理念を見失ったゴールドマン・サックスは打撃を受けました。日本でも「我欲」が問題視されています。お題目となっていた企業やブランドの「社会における存在意義」が再び問われているのです。

そうした中で一部の企業は自らを顧みて企業の存在価値を見つめ直しています。あるいは、トップが広報部の担当者を呼び出して企業使命宣言の修正を命じています。でも、後者のアプローチでは無意味です。企業による社会的な取り組みは、上っ面の決まり文句ではなく、誠実な使命感から発せられるものでなくてはならない、いつわりの基本理念は長くは続かないからです。また、デジタル革命はマスを殺しつつ、一方で、「自分が信頼し愛する対象をますます熱心に信頼し愛そうとする」人間の本質を過熱させています。

「透明性と誠実な慣行」は新たなブランディングの必須テーマとなりました。

カルチャーが鍵

今もっともイノベーティブ(革新的)な企業と聞かれれば、皆さん、どんな企業を思い浮かべますか。多くの人がアップルと答えるでしょうか?

さて、いつの時代も革新的な企業は憧れの的ですが、誰もが簡単にはなれません。永年に渡って成功している企業には必ずと言っていいほど良い企業カルチャーがあります。企業カルチャーの意味はその集団が生み出し、習得し、伝えていく習慣、思想、作法、価値観のようなものだと思います。多くの研究が証明している通り、企業カルチャー以上にビジネスの成否を決める決定的な要素は存在しない、その重要性は戦略やリーダーシップを上回るとさえ言われています。決して戦略が重要でないという意味ではなく、そもそもふさわしい企業カルチャーに支えられなければ戦略も成功しにくいということです。

ブース&アレン社はイノベーションにも企業カルチャー(文化)が大きな役割を果たすとし、企業全体の戦略としっかり足並みのそろったイノベーション戦略、戦略実現に必要な一連の優先的能力、そしてそれらをサポートする企業カルチャーの3つが差別化、収益性、企業価値の成長において抜きん出る可能性を高めるという研究結果を発表しました。

実はさらに難しいのがそのカルチャーの成長と維持です。最も継続的に革新性を発揮している企業、3Mのパレンスキー氏は、その課題について次のように語っています。「カルチャーとは、1つずつレンガを積むように、数十年かけて築いていくものだ。継続力と忍耐を持っていなければならない。トップダウンのサポートに加えて、やさしく背中を押すように推奨していかなければならない。しかも失うときはあっというまだ」では、こうしたカルチャーはどうやって育めばよいのでしょうか?経営者の立場で言えば、よいカルチャーを育む風土をつくることだと思っています。これからも革新性と実行力を支える社風を持った企業に学んでいかねばなりません。

企業は友だちになれるか?

最近フェイスブックをやっていてひとつ気づいたことがあります。この歳になると誕生日おめでとうと言われるのも照れますし、もしかしたら歳をとりたくないと思う人も多いのでは、、、と想像して、フェイスブックを始めて以来ずっとこちらから誕生日メッセージを相手のウォールに書き込むことはしていませんでした。ところが昨年末の自分の誕生日に多くの友だちからおめでとうメッセージを自分のウォールで受け取りました。ずいぶん日本人も変わったなあと感じたり、なぜ彼がと思ったり、そして何故か素直に嬉しい気持ちになったのです。リアルには一年間まったく会っていない旧友からのメッセージを読んで、思わず彼の最近の動向を見ようとクリックしてしまいました。

なぜ嬉しくなったのかをちょっと考えてみました。私の場合、「ほんの一瞬でもその人が自分のことを想ってくれたこと」が嬉しさの源泉のような気がしています。友人のウォールの写真の「いいね」ボタンを押すとき、もちろん内容の良し悪しはあるけれど、「君に関心があって気にとめているよ」というサインをどこかで出しているのかもしれません。その意味ではかつての年賀状や暑中見舞いと根っこは同じですね。

人と人の交流にはこうした気持ちが底流にありますが、企業やブランドとの間ではどうでしょうか。最近のマーケティング3.0の考え方では「ブランドが消費者に協力してもらう時代だ」と言われます。確かに企業やブランドと顧客は友人関係に近づいたところもありますが、一方でやっぱり違うとも感じています。

友人関係を構築するには「嬉しさの源が何か」を発見することが出発点であるような気がしています。

変える力

米タイム誌は毎年恒例となっている「時の人」(パーソンオブザイヤー)に昨年12月14日、中東での民主化実現に大きな役割を果たし、欧米など各地で格差社会是正に向け声を上げるなどした「プロテスター(抗議者)」を選んだと発表しました。 その前の年がファイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏だったことを考えると2年続けてSNSが受賞に絡んでいることがわかります。タイム誌は声明で「(中東のプロテスターたちは)催涙弾や実弾の雨が降る中でも異議を唱え、決して絶望しなかった」と、その勇気を称賛しましたが、実は中東だけではなく、ギリシャの政府への抗議、ロンドンの暴動、ニューヨークのウォールストリート占拠、、、など世界的に見ても反抗者の年であったと思います。

一方、日本では大震災が起きてしまった結果、反抗・抗議よりも協力・絆といった声があがり、世界とは違うムーブメントで終始した一年でした。良い部分もあったとは思いますが、結局先送りされただけ、気付いてみると根本的な諸問題は片付いているわけではありません。年金制度問題、消費税増税、TPPなど、このまま放置していては「このままでは国が破たんする」という意識が急激に高まりつつあります。日本で今すぐ暴動が起きるとは思えませんが、いよいよ限界値が近づいている、大きくパラダイムが変わる予感がしてなりません。

何が起きてもおかしくない世の中では、自分の頭で考え、臨機応変に頭を切り替えられる、過去にしがみつかない、自分自身を変える力がより求められます。

SNSの病

ソーシャルネットワークサービス(SNS)が社会インフラのようになっていく最中、マーケティングホライズン(2012.1号)をめくっていて気づいた感想を述べてみたいと思います。

吉田就彦氏が書いた「最近重大なトレンド病が蔓延している」という記事です。どんな病気かというとそれは「言いたい病」と「聞きたい病」だそうです。「言いたい病」はともかく何でもよいから発信したくなる病気、「聞きたい病」はいつのまにか他人の意見や評価に過度に影響を受けてしまう病のことです。実はこの病気、2チャンネル誕生のころからあったとは思いますが、ここにきてスマートフォンの普及とツイッターやフェイスブックなどSNSを多くの人が利用するようになって確かに増えているかもしれません。SNSをポジでとらえれば、今まで発言できなかった名もなき個人が誰でも参加でき、それなりの影響力を持てると同時に、偏ったマスコミ情報だけでなくユーザーの評価やみんなの声を直接聞くことができるようになりました。しかし一方で、「言いたい病」の典型である自己主張が現状への不満のはけ口だけになってしまう、自分の意見を持てない人が意思決定の言い訳だけに使う「聞きたい病」、なども蔓延していると思います。誰もこんな病気にはかかりたくはありませんよね。

FACEBOOKのCTO、Bret Taylor氏もあるカンファランスでこう述べています。「我々はソーシャルネットワークそのものが目的ではないと思っています。ソーシャルネットワークとはパーソナライズのことであり、アイデンティティのことであり、発見のことなのです」
SNSとは惑わず上手に付き合っていきたいものです。

流されるな

戦-帰-虎-災-愛-命-偽-変-新-暑-絆。

これは毎年12月に発表になる「今年の漢字」に選ばれた一字を2001年から並べたものです。過去3年で言えば、民主党政権が誕生した「新」の年、モーレツな暑さだった2010年の「暑」、そして東日本大震災で感じた人の「絆」の昨年。さて、今日の話題は漢字の変遷ではなくて情報摂取についての変化です。かつては発表のあった晩のTVのニュースで知ることが多かったのですが、近年は夜のニュースより前にヤフーニュースなど情報系ポータルサイトで入手するようになりました。ところが昨年の「絆」はフェイスブック上の知人から最初に知りました。極めて個人的な体験ながら、いつのまにかどんどん早く知るようになっている自分を発見してしまいました。

手元に多くの情報がタイムリーで入ってくる、便利なようですが、どうも根っこのところで気をつけなければならないことがあると感じています。情報が知識だとするならば、それを処理して自分の頭に入れて、行動に移すための知恵と行動力が足りない、情報量とその処理能力がアンバランスとなって、放っておくと「へえ~」、だけが増えていく気がしています。「昔は優秀と言われた人は物知りだった。ところが今の時代はいくらでも得られるからその力を失ってしまう。知識だけはいっぱい振り回すけれど決断ができない」ともいわれています。特に情報を得て、メールをやりとりして、書類を作ったら、仕事は終わった錯覚に陥ってしまうなんていう人たちも増えているのでは、、、こんな時間の使い方をしていたら肝心の仕事のレベルは落ちてしまうと思います。

情報氾濫の中で改めて物事を深く考える時間を意識的に持つことが肝要だと思うこのごろです。

成功とは

たまに書店を覗くと自己啓発に関する本がいつも並んでいます。50歳を過ぎるとどれも同じように見えてきてつい敬遠しがちでしたが、今回は久しぶりに手にとって良かった本をご紹介したいと思います。

「7つの習慣」という本なのですが、とても有名なのでもうお読みになった方も多いかもしれません。単なるノウハウ本ではなく現代人が生きるうえで良き道標となるようなところが気に入りました。著者のコヴィー氏によれば、正しい生き方なくして真の成功はありえない、真の成功とは優れた人格をもつことだと言い切っています。ミソなのは「人格とは繰り返す行動の指針、それゆえに優秀さは単発的な行動にあらず、習慣である」ということです。読んでみるとまるで京都大徳寺の和尚さんからかつて聞いた講話と共通ではありませんか。

そういえば、黄金律という言葉があります。キリストが山上の垂訓中に示したとされるキリスト教の根本的倫理で〈なにごとでも人びとからしてもらいたいことは,すべてそのとおり人びとにもしてあげなさい〉英語でいうゴールデンルールです。その成功の定義には「黄金律に従って、社会正義に反することなく、自ら価値ありと認めた目標をひとつひとつ実現していく過程である」と書かれています。

「人格形成のプロセスはまず依存から自立、そして相互依存へと進むことだ」とコヴィー氏は述べています。そしてこのプロセスにずっと必要なのが実は「習慣」を持つことなのです。「習慣」は正しい知識とスキル、やる気から生まれます。ずっと学び続けることが大切な訳はここにもあります。

大きな嘘

ちょっと変なタイトルですが、今回はかつて開高健さんが書かれた文章の一節を取り上げてお話をしたいと思います。「創造力と知恵」:広告王デビッド・オグルビー語録(すでに絶版)という本があります。もう20年以上前に読んだ当時はオグルビーって凄いなあと思うと同時に広告ビジネスに胸躍るワクワク感を抱いたことを思い出します。

さて、この本の監修をなんと開高さんがなさっていて「序の序」の中でこんな文章を書かれています。

文案家の当時の私が感服したことを、ヒトラーのわが闘争から引用することにします。ヒトラーのわが闘争は、いうまでもなく、半自叙伝兼ナチス思想の宣伝書なのですが、その政治プロパガンダについての解説の部分が、宣伝の本質をついているのです。こういう言葉があります。「大きな嘘のなかには人をして真実と信じ込ませる何かがある」。「大衆は女に似たところがある。あれかこれかと選ばせてはいけない。どこかひとつをとりあげて、これだと徹底的に叩き込むことである」、、、

時代は変わったけれども今にも通じる部分があるような気がしますね。いつの時代も同時代性の中で焦点をひとつに絞って徹底的に訴求することは人の心を動かします。一方、少数の人を長く騙すこと、もしくは多くの人を瞬間的に騙すことはできても、多くの人を長く騙すことは決してできないと思います。私はヒトラーのわが闘争の話を思い出す度にそんな風に感じています。

驚きの数字

インターネットが本格的に普及し始めてから約15年、日本ではほぼ全員が利用できる環境が整備され、老若男女、誰もがネットを使うようになりました。ところが世界でみるとまだインターネット人口は15億人だそうです。ただ驚きなのは2015年にその人口は25億人になるとのこと。今でもYOUTUBEでは1分間に48時間分の動画がアップロードされ、TWITTERでは1日2億のツイートがあるそうです。すでに途方もないデータがやりとりされていることを考えると、近い将来、そうしたデータは間違いなくもっと増えるでしょう。

さらにもうひとつインターネットのデータが増える要因は何でしょうか。現在インターネットにつながっているデバイスは世界で40億台を超えていると言われていますが、これが2015年には150億~500億台に増えるという予想があります。スマートフォンやタブレットは勿論のことですが、すでに自動車ではインターネット対応が進んでいるように、もはやインターネットは単なる通信端末だけに限らないものとなりつつあります。今後、電気を使う機器の多くはコンピュータ内臓となり、ゆくゆくはインターネット対応となってデータのやりとりが生まれるでしょう。

一方、インターネットから生じる莫大なデータはビックデータとなって新しい可能性を生み出します。現在では何テラというデータを分析して、半径100マイルのハリケーンの発生を2日前に予測して警報を出せるそうです。天気だけでなく、世界のさまざまな問題解決にも用いられるでしょう。

私たちが大変化の最中にまだまだいることを数字から読み取れますね。

現場はどこか

「事件は現場で起きている!」とは人気映画の名せりふですね。ところでマーケティングにおける現場、すなわち最前線とはいったいどこでしょうか。スーパーの店頭、家庭の食卓、通販チラシを見るとき、、、と思われがちですが、実は違います。それは顧客の心の中だと思います。ですから、「現場を見ろ」といわれたならば、顧客や見込み客の心(考えていること)を探れる、もしくは観察できるところに自分の身を置けということになります。もちろん、コンビニやドラッグストアに行って、お客さんを観察することは大切です。しかし、必ずしもそこで顧客の心の中を見れるとは限りません。一番大切なことは、顧客の立場に自分の身をおいて考えられるところに出向くことです。これを発見できたら、アイデアはきっと出てきます。

アルライズ・ジャックトラウト著「Bottom Up Marketing」の中にこんな事例が載っていました。毎年8月第3日曜日に奈良で全国金魚すくい選手権大会が開かれるそうです。全国から2千人が参加し、3分で何匹すくいあげることができるかを競うこの大会の名人と呼ばれる少年は3秒に一匹の速さで金魚をすくいあげるそうです。そしてその技の極意はというと「金魚の気持ちになること」だそうです。金魚の気持ちになって上手にすくいあげてやる、、、なんとなくわかる気がしますね。

決意を新たに

大晦日夜の近所の氷川神社参拝に始まり、墓参りや両親、親戚との交わりなどでいつもながらあっという間の3が日を過ごしました。商売繁盛を願って毎年訪れる神田明神は昨年より10%も参拝者が多かったとのこと、実に世相を反映していますね。

さて、多くの日本人が年の始めには神社や墓参りにて「今年こそは!」と祈願をします。ただ、今年は例年とは気持ちが違っていたように感じました。まさに大震災を経験したことで、図らずもいろいろな気づきが生じたからです。絆で代表される人と人が助け合う心、地域・コミュニティーの意味、家族や友人への想い、想定外という甘い認識、エネルギー問題、これからの日本を考えるうえでの大切な視点を再考するきっかけとなりました。ちょっぴりかもしれませんが、日本人も逞しくなったかもしれません。いずれにせよ3:11は日本の今後のあり方に大きなインパクトになったと感じます。

そして今こそ、有名な電通元社長吉田秀雄氏の「鬼10訓」の一番目に書かれている~仕事は自分から「創る」べきで与えられるべきでない~という精神を発揮できるかどうかが大切だと思います。廻りに左右されず主体性を発揮することはそうでない場合と比べて20%や30%の差ではなく、0か100かの違いにつながります。

「21秒の悔しさ」、「ネバーネバーネバーギブアップ」のフレーズに負けぬくらいにひとりひとりが強い「決意」をもって日本を良くしていきたいものです。

2012年のトレンド

明けましておめでとうございます。
年頭にあたって皆さま並びにご家族の皆さまにとりまして健やかな一年となりますよう心よりお祈り申しあげます。

さて、今年も調査コンサルティング会社のブランドキーズ社が発表したブランディング・マーケティングトレンドをもとに私なりに気付いた点を述べてみます。今回は特に昨年(2011年)のトレンドと比較しながら見てみることにしましょう。

まず、昨年と今年ともにあげられているのは「ブランドの価値」についてです。昨年は「消費者が価値とみなすものが価値である」、「精神重視」、「ザッポスを見習え」、「ブランド=価値」、「差別化は心理的要因から」といった視点が強調されていました。これはリーマンショック以後の「ニューノーマル」の延長にある考え方だったような気がします。何がブランドの価値を決めるのかはベーシックながらもっとも普遍的なテーマだと思います。今年もブランドにとって価値がもっとも重要という部分は変わりませんが、その中でさらにエスカレートしていくのはブランドが持つ意味の重要度ではないかと感じます。ソーシャルネットワークの力が増す時に何がブランドにとって大切かを認識することが肝要となるでしょう。昨年想像していた以上のスピードで普及しつつあるスマートフォン、タブレット端末の影響も今年の変化要因です。ここでは「アプリ広告の可能性」、「モバイルマネーの増大」、「リアルタイムの商品提供サービスの広がり」、などが予想されます。パーソナル化した情報提供もより当たり前になると思われます。

いずれにせよ消費者の期待が増大している一方で差別化がますます難しい状況が今年も続くでしょう。イノベーションを価値に結び付ける努力が一層求められますね。

About

BBmedia inc. 社長
佐野 真一

まさか、自分がブログをするなんて、日記といえば小学生のころ夏休み三日坊主で書いただけ。めんどくさいものが苦手、人に自慢話やお説教するのも嫌いな自分が何故。。。「読んでくれた人」にその理由がわかってもらえたら幸せです。

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