BRIGHT STORY

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EMOTIONAL

「WHITE TREE LETTER」
アプローチはいっぱい、表現は様々、思いは一つ

2015-2016の2年続けて丸の内の商業施設「KITTE」のクリスマスツリーの下で行なった施策「WHITE TREE LETTER」「WHITE BRESS」は大変な盛況をいただき「WHITE TREE LETTER」は「第55回 JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール ベストパートナー賞」を受賞するまでに至りました。

今では当たり前になった数多あるデジタルコンテンツの中から何故この作品がユーザーの心をつかんだのか、デジタルがインターネットの世界からリアルの世界に溶け出してきた現代における創作とは。 本案件に携わった田中宏大氏、楊 暁東氏に伺います。

【この案件の紹介ページはこちら】

田中 宏大

東京工芸大学芸術学部アニメーション学科卒
2007年 BBmedia入社
インタラクティブ部門でFlashクリエイターとして勤務後、現在映像ディレクターとして活動。アニメーションからデジタルの経験を生かした映像・デジタル作品を中心に制作している。
主な受賞歴:
ADFEST 2014"FILM CRAFT LOTUS"部門 BRONZE
New York Festivals 2014年"Digital Design"部門 FINALIST
ヤングライオンズ・コンペティション2013 サイバー部門 日本代表選出
New York Festivals 2016年“Mobie"部門 FINALIST Spikes Asia 2016年“Degital Craft"部門 FINALIST
映像作家100人 2017選出

楊 暁東

2013年 奈良産業大学部情報CGアニメーション学部卒業。 同年CG会社入社。
2015年 BBmedia入社。
趣味は筋トレ、水泳、スポーツ全般
代表作:
映画「神様の言う通り」
映画「テラフォーマーズ」
CM「トヨタ」「日清」など、
パチンコ「エウレカセブン、ワシズ(CG制作)」

主な受賞歴:
2012年 EAST-WEST ART AWARD COMPETITION 2012年 ビデオ・アニメーション部門 最優秀学生賞
2017年 GCC Awards: Best Commercial Adaptation

メッセージは不可欠

「WHITE LETTER」(2015)制作の経緯について教えてください。

田中 2014年に毎年行われているKITTEのクリスマスツリーの記録映像制作の依頼をいただいたのがキッカケで、当時ちょうどデジタル花火等の面白い企画をしているのもあって来年はやらせてくださいという話をしたら仕事になったっていうのがそもそものスタートですね。 2015年はスマートフォン上でクリスマスツリーが動き出すっていうベーシックな企画案は既にあって、BBmediaには映像と仕組みの期待をされて仕事が来た感じですね。

時間はあまり無かったのですが少しアイデアを出す余裕があったので、「手紙だからメッセージつけられたらよくないですか?」っていう提案をブレストの段階でしたら、「いいね!」とそのアイデアが採用されました。

KITTEらしさ、はがき・日本郵政らしさを出すためにメッセージは不可欠だと思っていましたし、ちょうどその時期にある展示で、その場で書いた自分の字が、そのまま自分の筆跡で映し出されるという作品を見て、筆跡という物にはストーリーがあって、書く行為自体に思いみたいなのが込められているなっていう思いがあって、「メッセージを送る」という仕組みを入れることで作品の強度が増すと確信していましたし、実現したいという思いは強かったです。

今までにない仕事

クリスマスツリーの映像について教えてください

ちょうど入社した時にこの仕事が始まったので、環境が整っていない状態で仕事が始まって、演出的にやりたいことがあってもソフトウェアが無かったりで大変だったのを覚えています(笑)。

こちらの案件については僕が入った段階では田中さんが書いたコンテの段階からデザインが固まっていて、それに忠実にモデリングして、ちょっと凝った木の3Dオブジェクトを制作したら、はがきを重ねたときに思っていたより複雑な見た目になってしまって、最終的にはシンプルなモデルにつくり直すことがありました。

前職がいわゆる普通の3D映像ばかりだったので、こういった仕事の制作の仕方が最初全然理解できなくて最初はてんてこ舞いだったんですが、徐々に理解できてくると気合が入ってきましたね。こんな素敵なものつくっているんだって。

田中クリスマスの設定で、当初ツリーが動くだけの想定だったんですが、もっとハートウォーミングにしたかったので「恋人」のテーマでストーリーを提案したんだけど、KITTEさんは恋人よりも家族のストーリーの方がいいという事だったので、単身赴任のお父さんという設定にして、子供から手紙が届いてそのあと出会うみたいなストーリーにしました。作品を見てわかる人はいないかも知れないけど細かいところにこだわっていますね。

はがきの印刷が決まっていなかったので映像を作るのが大変でしたね(笑)

田中はがきは残るものにしたかったからこだわりました。(笑)

手書きで手紙を送ること

実際に作品が完成して、会場のリアクションはいかがでしたか?

田中作品の性質上、送った先が受けるリアクションが、本当のリアクションなのかもしれないですが、年齢関係なく手書きでみんな一生懸命書き込んでいる姿を見たときは、ちょっとウルウル来ましたね。ハートウォーミングという想定がうまくいったのかなという実感がわきました。あとは、おくった手紙を送られた人は見てくれたのかなっていうのがありました。手紙は送る人と受け取る人が成立するものですからね。

いまの時代手紙を書く人が少ないなか、一生懸命手書きで手紙を送るっていうのは、外国人の目線からすると、日本って素晴らしいと思う。少なくとも僕の国にはないですね(笑)

BBmediaの創作環境

「WHITE TREE LETTER」が好評で2016年も再び携わることになったんでしょうか。

田中はい。2015年の作品の評価が高くて、引き続きやりましょうということになったんですけど、企画が難航して本当に時間がない中で制作しました。

テーマに関しては、2015年は来館者に手紙を書いてもらって、遠くにいる送られた人に喜んでもらうものだったので、2016年は来た人に喜んでもらえるものにしたい気持ちがあり誰かと一緒に楽しめるものにしました。「人と人を結ぶ」というコンセプト前年の作品のテーマを活かしたコンセプトになっています。 センサーを使う装置を作ったんですが、なかなか粉が上手に飛ばず仕掛け屋さんと時間の無い中ヒヤヒヤしながら作りました。

2016年版の映像は幻想的な投影がありましたが。

社内にモーショングラフィックスデザイナーがいたので実現できたんだと思います。 2016年の映像は前例がないものだったので外部に依頼して制作してもらうのが非常に厳しい状況でした。

田中 社内で制作が完結したのでかなりトライアンドエラーの姿勢で制作に取り組めました。プランニングと制作が一緒に動ける機動力がなければ無理でしたね。プログラムもしかり、実現できるかできないかをその場で確認できるのは強いですね。

その場で「できる・できない」を見極めて提案できるのは強いですよね。

田中2015年もそうでしたが、社内にディレクターやプランナーと技術者が密に連携できている体制は創作には大変良い環境だと思います。

2016年版の映像は幻想的な投影がありましたが。

田中 60分待ちになるくらい人気だったので、それはすごく感動しましたね。クリスマスっていうタイミングもあって、広告的な要素以上に、楽しみたいって思ってやってくれる人が多かったのはよかったですね。ちょっとしたテーマパークのアトラクションみたいになっていて驚きました。

実際に自分も並んでみて、前にいたおばあちゃんがホームページ見て遠いところから来てくれたのを知って驚きましたね。でもそういう人も多いのかなって思いました。YouTubeで見たものを、実際に体験してみたいって人とか。 「体験してみたい」と思ってくれたことがなにより嬉しかったです。

新しい技術を使うだけがゴールじゃない

最後にお二人の今後の展望について教えてください

映像だけでも、webだけでもなくテクノロジーと何かを巧み組み合わせて体験してもらえる新しいコンテンツを、BBmediaなら生み出せると思いますし今後どんどん提案していきたいと思います。

田中 発信者側からすると技術的な新しい組み合わせも大事だけど、体験してくれた人や、見てくれた人の感情を動かすエモーショナルなところまで行けるような作品を作りたいです。だから、広告とか関係なく、世の中の人に楽しんでもらえるようなものを作りたいですね。

新しいってことだけに関しては、トライっていう事ではいいですけどあまり個人的には興味がなくて、技術を使うのはゴールじゃなくて、お客さんに楽しんでもらうっていうゴールがあって、技術はその中の選択で、シンプルに楽しんでもらいたかったので、「書く」だったり「息を吹く」という手段を選びました。

僕は今映像ディレクターの肩書ですがもともとはFlashを作っていました。 見る側に立ったのは映像をやり始めてからなんですよ。Flashをやっていたときは、イケてる動きとか、そんなことばっかで、結局重いサイト作って、そういう経験を踏まえたうえで今の考えがあります。

Flashだけやっていたら、きっと今も技術がゴールだったかもしれません。
Flash時代の手法を活かしつつアウトプットしたりもしています。昔の経験や興味が大切で、ひとつのことばかりやっていてその側面でしかモノを見れなくなってしまうより、色々なことを経験して様々な角度からモノを見れるっていうのはとても大切なことだと思うんです。幸いBBmediaはWEBからCM、CMからWEBに移籍ができますよね(笑)

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