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ソニーグループ株式会社 SONY STAR SPHERE『Space Shooting Lab』

クライアントとともにゼロから創った『Space Shooting Lab』

Outline

宇宙を、すべての人にとって身近なものに――。そんな想いで打ち上げられた超小型衛星『EYE』が、2025年2月末にその役目を終え、大気圏に再突入しました。
『EYE』は、ソニーの宇宙感動体験事業『STAR SPHERE』の一環で、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の協力を得て東京大学とソニーグループ株式会社が共同開発した人工衛星です。EYEにはソニー製フルサイズカメラが搭載されており、ユーザー登録すると、専門的な知識やスキルがない一般の方でも宇宙視点での撮影を楽しむことができました。

ビービーメディアは、ソニーグループ株式会社のクリエイティブセンターからの依頼を受け、同センターのもとSTAR SPHEREの宇宙撮影体験の提供に先立ち、「自分だけの衛星写真を撮影する」感覚を疑似体験できる、体感型宇宙撮影シミュレータ『Space Shooting Lab』を制作。世界中の多くの人に体験していただき、宇宙視点での撮影に対する期待感を高める役割を果たしました。

今回は、「これまでにないサービスを、リアリティをもって具現化する」という難しいプロジェクトをどのように成功させたのか、ビービーメディアの取り組みをご紹介します。

Role

体験型コンテンツ、UI/UX、CG/アニメーション

Client

ソニーグループ株式会社

date

2022/10/30

ミニマムな実績を積み上げて『STAR SPHERE』へ

『Space Shooting Lab』プロジェクトの始まりは、以前お仕事でご一緒したクライアントのご担当者がソニー様へ転職されたというご縁から、ソニー様での会社プレゼンの機会をいただいたことでした。
そのプレゼンをきっかけに、弊社へご来社いただくことになりました。社内ラボで研究開発中の様々なモックをご覧いただきながらお話を進める中で、弊社の取り組みに深く興味を持っていただき、正式なご依頼へと結びつきました。
こうして、宇宙関連事業『STAR SPHERE』が動き出す段階で、まずは宇宙に関わる小規模なプロジェクトからスタートすることに。そこから少しずつ実績を積み重ねていき、人工衛星『EYE』による宇宙撮影の疑似体験コンテンツの制作へと繋がっていきました。


疑似体験コンテンツの目的は、宇宙撮影体験を多くの人に知っていただき、『EYE』の打ち上げとサービスへの期待感を高めてもらうことです。しかし、『EYE』の打ち上げはまだ先で、実際の体験がどのように展開されるかについては未知数なところが多くありました。
そのため、『企画→全体設計→デザイン→実装』という従来のフロー型の制作プロセスとは異なり、体験の流れや空間設計、テクノロジーなどの各領域が同時進行で手を動かしながら、理想的なゴールを模索するアジャイル型のプロセスを採用することになりました。
クライアントのご要望に対して先回りし、モックアップやUI、アニメーションでのデモを見てもらうといった具体的なアウトプットを迅速に作ってはコメントをいただき、ブラッシュアップするという試行錯誤を丁寧に何度も繰り返すことで、理想とするゴールに近づいていきました。
ローンチまで間がない中、ソニーグループ株式会社のクリエイティブセンターのもと試行錯誤する日々が始まりました。

デモによる物理的なイメージの共有で、認識のずれを防ぐ

プロジェクトには、エクスペリエンスプランニングディレクター、テクニカルディレクター、映像ディレクターの3名を中心に、アートディレクターやデザイナーなど多くのメンバーが関わりました。

全員に共通していたのは、壮大なプロジェクトである『STAR SPHERE』の成功に貢献したいという想い。そして、まったく新しいクリエイティブをゼロから作り上げていくことに対する喜びです。
必然的に、メンバー一人ひとりが前のめりに業務に取り組み、ソニーグループ株式会社との壁打ちの場でも自発的に提案をして「より良いものをつくりたい」という熱意を示しました。
こうしたビービーメディアの姿勢と「STAR SPHERE事業に弾みをつけるコンテンツをつくりたい」「疑似体験コンテンツでも感動を提供したい」という熱い想いが共鳴し合い、一つのチームとして同じゴールを目指す空気感が醸成されていきました。

サービスローンチが迫る中でも妥協せず、何度も壁打ちを重ね、具体的なイメージを確立。緊密にコミュニケーションをとりながら制作を進めていきました。

その後の制作プロセスでは、言葉だけのやりとりで齟齬が生まれたり、認識がずれたりするのを防ぐため、テクニカルディレクターが迅速にデモを作成。衛星の角度や軌道を操作するインターフェース、カメラの角度を動かすジョグダイアルといった技術的な要素は、実際にデモを動かしながら方向性を確認することができました。
こうしたデモの作成は、研究開発拠点のラボと、ライブ配信や多様な撮影が可能なスタジオを一体化させた施設を持つビービーメディアの得意分野。プロジェクトメンバー全員が同じ完成形を頭に描く上でも役立つため、その他のプロジェクトでも必要に応じてデモを作成しています。

宇宙視点の体感型宇宙撮影シミュレータ『Space Shooting Lab』

試行錯誤と検証を重ね、『EYE』打ち上げの3ヵ月前にリリースしたのが体感型宇宙撮影シミュレータ『Space Shooting Lab』です。
タッチスクリーンを使って撮影したい場所を設定すると、衛星や衛星軌道が出現。ジョグダイヤルで衛星の位置や角度、向きなどを設定し、衛星写真を撮影する一連の流れが臨場感をもって体験できるコンテンツが完成しました。

「専門知識がない人でも、気軽に宇宙視点で撮影ができる」という宇宙撮影体験サービスの目的を踏まえ、UIはタッチスクリーンとフィジカル・インターフェースを活用した直観的なものに。
シミュレータでの体験を通じて、世界中のあらゆる場所で宇宙の美しさ、地球の美しさに触れられるサービスのリリースがより楽しみになるよう、衛星写真を活用した映像や音楽にもこだわりました。
特に音楽は、空間における没入感を重視し、5.1chサラウンドで制作。周囲にスピーカーを5点配置する工夫をしています。5.1chサラウンドの楽曲制作は初めての挑戦でしたが、海外の音楽制作者の協力を得て実現しました。

世界中の人に、宇宙撮影の疑似体験を提供

『Space Shooting Lab』は、2022年10月に東京ミッドタウンで開催されたイベント『Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022』に出展したソニーグループ株式会社のブース『PLAY SPACE.』で展示され、インタラクティブな参加型のコンテンツとして人気を博しました。
人工衛星のミッションコントロールセンターをイメージした空間と、ディスプレイに表示される美しい映像を見ながら手元のコントローラーで人工衛星を動かす体験は老若男女に好評で、「宇宙に興味が湧いた」「サービスのリリースが楽しみ」という声も多く聞かれたといいます。

これを皮切りに、多様な産業から最先端の技術が結集する展示会『CEATEC(Combined Exhibition of Advanced Technologies)』、さらにはラスベガスで開催された電子機器業界向け見本市『CES(Consumer Electronics Show)』にも『Space Shooting Lab』が展示され、日本のみならず世界の人々に体験していただくことができました。

プロセスハイライト

・小規模なプロジェクトからスタートし、疑似体験コンテンツへ
宇宙関連事業の構想段階でラボを訪問いただき、活用できそうなデモを紹介。小規模なプロジェクトから始まり、『EYE』による宇宙撮影サービスの疑似体験コンテンツの制作へと発展。

・意欲的なメンバーが集まり、前のめりに提案
必要な技術と知見をもったメンバーが参加し、プロジェクトが始動。宇宙に関わる壮大なプロジェクト『STAR SPHERE』に関われる喜びから、自発的な提案を重ね、企業の壁を越えたチーム感を醸成。

・新技術を活用し、スピーディーにデモを作成
技術的な要素での認識の齟齬をなくすため、蓄積してきた新技術の研究成果も活用し、テクニカルディレクターが迅速にデモを作成。チーム全員が同じイメージをもって作業できることで、スピード感のある実装につながった。

・没入感を高める映像や音楽の工夫
音楽は5.1chサラウンドで制作したほか、5カ所に5.1chサラウンドスピーカーを配置。リアリティのある宇宙映像にもこだわり、体験空間における没入感を高めた。