「周年事業の担当になったが、何から手をつければいいかわからない」「式典や記念品の準備を始めたが、これでいいのか不安だ」といった悩みを抱える担当者様は、少なくありません。
多くの企業にとって、周年事業は数十年、あるいは100年に一度のビッグプロジェクト。しかし、その貴重な機会を「過去を祝うだけのイベント」で終わらせてしまっては、経営的な損失にもなりかねません。
現代の周年事業に求められるのは、過去を振り返るだけでなく、企業の未来を創る「ブランド再構築」の起点としての役割です。
この記事では、インナーブランディングや組織変革を目指す担当者様に向けて、周年事業を単なるイベントで終わらせず、企業の成長につなげるための正しい進め方と目的設計について、具体的な事例を交えて解説します。
周年事業の失敗の構造
周年事業の企画において、「創立◯◯周年だから、記念式典を開こう」「とりあえず社史を作って配ろう」というように、やること(手段)から入ってしまうケースが散見されます。
しかし、手段が目的化してしまうと、下記のような事態を招きかねません。
<周年事業で起こりうる事態>
・現場のしらけムード:忙しいのに、なぜこんなイベントに参加しなければならないのかという、不満が生まれる
・一過性のお祭り:当日は盛り上がっても、翌日からは元の組織に戻ってしまい、何も変化が起きない
・コストの浪費:誰に何を伝えたいかが曖昧なまま、豪華な会場や記念品に予算を使ってしまう
失敗事例の多くは、「他社がやっているから」「通例だから」という理由で施策が決定されます。その結果、本来得られるはずだった「社員の一体感」や「ブランド価値の向上」といった成果を逃してしまうのです。
成功する周年事業は、必ず「手段(How)」の前に、確固たる「目的(Why)」が存在します。
式典や社史は、その目的を達成するための選択肢のひとつに過ぎません。まずは「周年事業=イベント」という固定観念を捨て、経営課題を解決するプロジェクトとして捉え直すことがスタートラインといえるでしょう。
失敗しない周年事業のフレームワーク(Why・What・How)
周年事業を成功に導くためには、企画を立てていく順序が大切です。
ビービーメディアでは、「Why・What・How」のフレームワークにもとづいた設計を推奨しています。各段階で必要な「視点」と「問い」と併せて、詳しく見ていきましょう。
1. Why(なぜやるのか?)
まずは、最も重要となる企画の土台を作ります。「感謝を伝えたい」というだけでなく、その先にどのような組織変化やブランド価値向上を目指すのかという、「目的」を言語化してください。
また、この段階で経営層へのヒアリングや社員アンケートを行い、組織の現状と課題を浮き彫りにするといいでしょう。課題を明確にしないまま進むと、後の施策がぶれる原因となります。
2. What(何を伝えるのか?)
目的を達成するために、ターゲット(社員、顧客、社会)に届けるべきブランドのコンセプト(スローガン)を策定します。全社員が口ずさめるような、未来志向の言葉を選ぶようにしてください。これが、ブランドの「核」となります。
3. How(どう伝えるのか?)
コンセプトを体現するための、具体的な「施策」を計画します。この段階で初めて、式典の有無や制作物の内容を決定します。
予算配分は目的に対して効果が高い施策へ、重点的に割り振るようにしてください。
以上の順番を守ることで、一つひとつの施策に意味が生まれ、組織全体を巻き込む説得力のあるプロジェクトとなります。
周年事業プロジェクトの正しい進め方
周年事業の「Why・What・How」を定めたら、実際にプロジェクトをどのように進めたらいいのでしょうか。
プロジェクトを進める上で重要なのは、一部の実行委員だけで進めるのではなく、社内報やプレイベントを通じて、全社員を巻き込んでいくプロセスです。「自分たちのお祝いである」という当事者意識を持ってもらう工夫が必要となるでしょう。
また、周年事業で掲げたビジョンを評価制度や行動指針に落とし込み、文化として定着させることも重要です。周年イヤーを一過性のもので終わらせないための仕組みづくりが、プロジェクトの総仕上げとなります。
周年事業は組織の内側から誇りを醸成する、ブランド再構築の好機
近年、周年事業において重要視されているのが、インナーブランディング(社内向けブランディング)の視点です。
日々の業務に追われる中、社員が「自社の歴史」や「創業の精神」について深く考える機会は、そう多くありません。周年という節目は、全社員が立ち止まり、自社の過去・現在・未来に向き合うことができる、唯一無二のタイミングといえるでしょう。
また、経営層からの一方的な発信ではなく、社員一人ひとりが「自分たちは何者で、どこへ向かうのか」を問い直すプロセスを経ることで、組織に強力な「誇り(プライド)」と「一体感」が生まれます。
周年事業は、社名の認知を広げるだけでなく、組織の内側からブランドを再構築し、未来への推進力を生み出す絶好の機会です。例えば、過去の歴史を単に年表にするのではなく、デジタル技術を用いて「体験できる物語」として再編集することも有効といえます。
周年事業の事例に学ぶ目的の転換と成功のポイント
実際に周年事業に成功した企業は、どのような「目的(Why)」と「核(What)」を設定していたのでしょうか。ここでは2つの事例を、「施策(How)」と「成果」を交えてご紹介します。
株式会社クボタ エンジン事業100周年:全世界の社員に誇りを再浸透
クボタエンジン事業部が100周年を迎えたときの事例です。世界中に従業員が増える中で、創業時からのDNAが希薄化することへの懸念がありました。
<周年事業設計のポイント>
・目的(Why):全世界の従業員に対し「KUBOTAプライド」を再浸透させ、⼀体感を醸成したい。
・核(What):創業者の想いと、それを受け継ぐ地球規模の課題解決という変わらぬ使命。
・施策(How):創業者の精神と現在の事業活動をつなぐストーリーを描いたブランドヒストリー動画を制作。
・成果:単なる歴史紹介ではなく、自分たちの仕事が創業者の想いとつながっていることを可視化したことで、社員が歴史と使命を自分事化するきっかけとなりました。理念浸透と一体感の醸成に大きく貢献した、インナーブランディングのお手本のような事例です。
MAJOLICA MAJORCA:ファンとの絆を深める世界観の凝縮
確立された独自の世界観を持つ、MAJOLICA MAJORCAが20周年を迎えたときの事例です。「Why・What・How」のフレームワークは、社内向けだけでなく、社外(ファン)に向けたロイヤリティ向上施策においても有効です。
<周年事業設計のポイント>
・目的(Why):20年間の感謝をファンに伝えるとともに、ブランドロイヤリティを最大化したい。
・核(What):時代とともに変化し続ける「かわいい」の表現と、その根底にあり続けるブランドの世界観(哲学)。
・施策(How):20年間のアーカイブとブランドの核となる世界観を凝縮したアニバーサリームービーを制作。
・成果:ブランドの哲学をエモーショナルに表現した映像は、ファンの熱狂的な反応を呼びました。SNSでの拡散を通じてエンゲージメントが強化され、あらためてブランドへの愛着を深めることに成功しています。
【資料ダウンロード】周年事業を変革の起点にするための実践ガイド
周年事業は、企業の歴史における通過点ではありません。過去の蓄積をエネルギーに変え、未来に向けて組織を跳躍させるための「変革の起点」となります。
これから周年事業を企画される担当者様は、お祝いの準備ではなく、ブランドの未来の設計から始めてみてください。あなたの会社らしい物語を紡ぐことが、社員の、そして顧客の心を動かす一番の近道になるはずです。
ビービーメディアでは、本記事で解説した「Why・What・How」のフレームワークや、KUBOTA、MAJOLICA MAJORCAなどの事例を深掘りしたホワイトペーパーを公開しています。
<ホワイトペーパーで得られる知見>
・周年事業を成功に導く「2つの視点」
・企画書にそのまま使える「Why・What・How」のフレームワーク
・KUBOTA、MAJOLICA MAJORCAに学ぶ「ブランドの核」
▼ホワイトペーパー ダウンロード
周年事業をブランド再構築の起点にする実践的フレームワーク
周年事業を成功に導く具体的なヒントを知りたい担当者様は、ぜひダウンロードしてご活用ください。