こんにちは!EXエンジニアの奧寺です。
毎年恒例の新人歓迎会。そのクライマックスを飾るのが、先輩たちが心を込めて制作するウェルカムムービーです。2025年、私たち前年の新入社員が手掛けた一本のムービーが、会場をかつてないほどの驚きと感動で包み込みました(少し大袈裟かもしれませんが、本当に嬉しい反響をいただけたんです!)。
この記事では、伝統あるウェルカムムービー制作に、AIという新たな息吹を吹き込んだ私たちの挑戦をご紹介します。AI素材担当として、どのようにして最新技術と人の想いを融合させ、観る人の心を揺さぶる作品を生み出すことができたのか。その舞台裏と、私たちが込めた情熱をお伝えできればと思います。
企画編:今年のムービーは「AI」が主役!?「その代らしさ」をどう融合させる?
例年は「題材から何からなんでもあり」な催し物だったのですが、今年から初の試みとして、会社側から「AIの活用」というテーマが与えられました。
メインツールとして選んだのは、アイデアの壁打ち相手となってくれたChatGPTやGemini、そしてビジュアルの核となるAdobe FireflyやPhotoshopの拡張生成機能などです。毎年恒例のミッションに加わったこの未知の要素に最初はなかなか苦戦続きでした。
今年のテーマには「ビービーメディア25周年と冒険ドラマ色溢れるムービー」が決まりました。記念すべき年だからこそのかっこよさ、雰囲気の統一には監修してくれたメンバーのこだわりがふんだんに感じられると思います。また、課題とされていたAIも単なる技術披露の場としたくなかったので、AI素材制作を任された身として「AIという無機質なイメージが残るものにいかに感情や自然さを感じさせられるか」にはすごくこだわりました。
このゴールに向かう過程で、プロジェクト全体を監修してくれた同期メンバーの存在は非常に大きかったです。特に監修してくれていたメンバーとは目指すクオリティや「面白い」と感じるツボが似ていたおかげで、企画の芯がブレることなく、チーム全体で同じ方向を向いて進むことができました。もちろん、時には意見がぶつかることもありましたが、それも全て最高のムービーを作るため。その熱意があったからこそ、最終的に素晴らしい作品が完成したのだと確信しています。
制作編:驚きのAI技術、フル活用!AI担当の苦労と発見
私はリーダー、編集、そしてAI素材担当という大役を任されました。
私たちが特に力を入れたのが、ムービーの世界観を創り上げるビジュアルです。
画像生成AI「Adobe Firefly」や、Photoshopの画像拡張生成機能を駆使しました。
AIの進化を実感したのは「AIっぽさのコントロール」です。従来のAI風と自然な表現をシーンや目的に応じて描き分けることで、ムービー全体の表現の幅が格段に広がりました。
冒険ファンタジーに不可欠な、現実には存在しない壮大な風景や幻想的な空間。
これらは、動画編集ソフト「Filmora」と各種AI技術を組み合わせて実現しました。
キャラクターたちのセリフには「AIクローンボイス」技術を活用。
より多彩なキャラクター表現が可能になり、物語への没入感を高めることができました。
一見簡単そうなAI生成ですが、私たちが取り組んだ2025年3月時点では、AIはまだまだ発展途上...。
「思った通りの形になるまで」にかなりの時間を要してしまうことも少なくありませんでした。
弊社AIチームでもよく聞く「(完成までの期間が)読めない」という点で、大きな試練だと感じる瞬間もありました。
AIはまだまだ手作業の代替というより、一種の生成ツールとして、しっかり向き合って工数をかける存在なんだなと実感しました。
個人的に特に大変だったのが2ヶ所あり、1つは総務の御三方のAIクローン制作です。
AIの音声合成技術を使っている違和感や、「なんとなく似てる」という見た目を大切に、怖くならずに笑って見てもらえるデザインに仕上げるのに本当に苦労しました。
そして、もう一つは社員一人一人をステッカー風のGIFアニメとして切り取る作業です。下のGIFのようなデザインになっていて、ステッカー風にしたのはテレビドラマの作品をオマージュしたようなオシャレな演出にしたかったからです。
こちらはPhotoshop、After Effectsを使った地道な人力作業だったのですが、社員の顔を一人一人切り抜いてGIFアニメにするのは、想像以上に時間がかかりました。
ほぼ全社員(9割ほどのメンバー)にご参加いただけたのは本当に嬉しかったのですが、その分、クロップ編集や確認作業には多大な工数を要しましたね…。
でも、完成した時の喜びはひとしおでした!
こだわり解説
今回の制作した中で、特にAI技術とこだわりが光った注目のシーンをピックアップして、その裏側を解説します。
シーン1:冒頭のシーン
ここが一番大切な視聴者をぐっと惹き込むポイントだと個人的には思っています。 当日歓声が上がったシーンでもありました。
このシーンの狙いは、実写の社長の威厳ある前向きシルエットから始まり、あたかもつながって撮ったかのような社長の後ろ姿と歴代の賞の画像のシーンへと展開していきます。「あたかもつながって撮った」という言い方からお察しの方もいるかもしれませんが、そうなんです。実は、この社長のような後ろ姿そのものがAI生成なんです!
この「現実からデジタルの世界へ、そして仲間たちへ」と繋がっていく滑らかなトランジションを実現するために、横断的なツール使用でこだわっています。
AIが生成した動きと実写映像を自然に馴染ませるための微調整は、まさに職人技のような作業でしたが、その甲斐あって、私たちの会社の「今」、そして「未来への期待感」を象徴するような、力強いオープニングが完成しました。
シーン2:移り変わるBB本社と各部署紹介
このパートの背景に注目してください。現実のオフィスをベースに、AIが「ありえないけど、どこか見覚えのある未来的な本社」として描き出してくれたものです。
「AIが作ったファンタジー感も感じる背景の上で、温かみのある手作りステッカーが躍動する」というAIと人力のハイブリッド感が動画の大部分を占める見せ場となっています。同期のメンバーたちとこの一年で築き上げた信頼関係があったからこそ、社員の皆さんからこんなにもユニークで温かい表情を引き出すことができました。肖像権の都合上、全編を上げられないのが悔しいですが、大変だった分、かなり見応えのあるパートになったかと思います!
おわりに
この挑戦は、私にとって、そしてチームにとって、決して平坦な道のりではありませんでした。
しかし、チーム一丸となって試行錯誤を重ね、数々の困難を乗り越えた先に完成した歓迎ムービーは、私たちにとってかけがえのない経験と、大きな自信を与えてくれました。
AIと新人歓迎ムービーの融合点、そしてそこから生まれた面白さが、この記事を読んでくださった皆さんに少しでも感じてもらえたら、リーダーとして、そして制作者の一人として、これほど嬉しいことはありません。
これから先のAI発展と新人歓迎会のクオリティアップを重ねる中で、この年の制作が1つの変化点になっていると嬉しいです。
以上、今後のさらなる発展に期待が高まる、新入社員ウェルカムムービーのご紹介でした。