No.8

舞台はアジア、
文化の垣根を超えた
マルチなクリエイティブを

アジア戦略

SNSやネットを通じて中国や韓国の影響を日常的に見かけるようになった今。市川さやか氏もアジア戦略のために一歩踏み出していました。いくつも案件を進めた上での発見や、コロナ禍での変化やアジア戦略の可能性について伺いました。

  • 市川 さやか|企画、演出

    2007年入社
    アジア圏での撮影経験を重ねながら、
    社内外を通して様々な案件に携わっている。

外の世界へ飛び込む

普段の業務について教えてください。

市川 映像の演出と企画をやっています。テレビCM半分、WebCM・広告半分くらい。社外からお仕事をいただくこともあるので、他のプロダクションの仕切る案件で演出をする時もあります。あとは化粧品や女性ターゲットの商品関連の映像を作ることが多いです。基本は国内のお仕事がメインですが、中国からの案件も年に数本依頼を受けます。

アジア圏のお仕事を受けるようになった経緯はどういったものでしたか。

市川 10年ほど前、当時アシスタントについていたCM監督の助監督として携わった案件が転機になりました。中国での撮影だったのですが、撮影のメインスタッフが現地に入る前に「先に行って準備しといて」と言われ、一人でトータル1ヶ月ほど滞在しました。周りもみんな知らない人、もちろん言葉も話せない。右も左も分からない中でどう動いたらいいか分からずという状況でした。

実は当時、最初から中国に興味をもって取り組めていた訳ではなかったんです。むしろ逆(笑)。そんなアウェイの状況を打破しようと、とにかく必死にやっていく中で徐々に手応えを感じ、楽しいと思うようになっていきました。さらに元々海外ロケは好きだったこともあって、初めて触れる文化や見たことのないものが詰まった新しい経験ができたのが自分に合っていたのだと思います。そういった経験を積みながら少しずつ現地のプロデューサーやスタッフと仲良くなって、そのご縁が徐々に次のお仕事に繋がっていったんです。

文化の違いをシームレスに反映して

撮影は海外で行っているのですか。

市川 コロナ禍もあって、今はほぼリモート撮影ですね。現地と日本をマルチ画面で繋いで、撮影現場と実際の撮影した映像がリアルタイムで見れるようになっているんです。それを観ながら指示を出したり。現場が中国か、日本かによってネットワーク環境も違うので使用するツールも変わってきます。

中国(現地)とのリモート撮影時のチェックは、専用のアプリケーションを使用してリアルタイムで行う
中国での案件を受けてきて、日本との違いはありましたか。

市川 映像の制作フローは日本と変わらないのですが、演出面が大きく違うなと感じます。例えば映像トーンひとつとっても、日本では淡いトーンが好まれる場面も、中国だと色鮮やかでコントラストの強いものがいいとか。日本では引き算する演出法もありますが、中国では要素を盛っていくことが多いです。そういう、無意識の中で定着している人々の感覚の差が面白いですよね。

あとは日本ではビュー数をとるために、例えばTVCMとYoutubeやSNSで表現を変えるけど、今まで私が受けてきた中国案件では、そういう風に媒体で分ける感覚がないことが多かったです。また人口の多さやスマホの普及率の高さも関係してると思うのですが、日本とは戦略の立て方が違うと感じます。

近年はSNSの普及が著しいですが、影響を感じることはありますか。

市川 そうですね。最近はTikTokの台頭で、中国、韓国、日本やアジア各国の文化がどの国からもより気軽に見れるようになって、流行が混ざってきているように感じます。例えば韓国メイクが中国で流行って、そこから新たな中国メイクと呼ばれるものが生まれて、それが更に日本で流行るなんてことも起きています。文化や流行の垣根がなくなってきているんじゃないでしょうか。案件をやっていく中でもそれを感じます。

視野を広げて、次のステップへ

今後チャレンジしてみたい事はありますか。

市川 中国でのお仕事はより積極的に行っていきたいなと思いつつ、さらに新しいことを色々やっていきたいなとは思ってます。まずは中国ですけど、今後はアジアの他の国や東南アジアまで範囲を広げてみたいですし、挑戦するための環境を築いていければいいなと思います。
私の仕事は1人では発生しないし、できないので、やっぱりコネクションを作るということが一番大事かなと。そうして世界各国に知り合いができたら素敵ですよね。将来の夢は日本じゃないどこかで暮らすことなので(笑)、もしかしたらタイの森の中やインドの聞いたこともない島で生活する日が来るかもしれません。

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