プロジェクトを加速させる、
部門を越えたチームの力
ARで遊べる!学べる!
JAXAといっしょに月探査
2020年7月にビービーメディアからリリースされた、『ARで遊べる!学べる!JAXAといっしょに月探査』。専用アプリをダウンロードしたスマホを絵本にかざすと、絵本から宇宙空間や探査マシンがARで飛び出したり、3Dマシンを操縦するゲームが体験できたり、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)監修のもと宇宙について遊びながら学べるAR絵本です。スマホで楽しむ絵本というユニークなアウトプットへたどり着いた背景や、制作に対する想いについて案件の担当メンバー4人に伺いました。
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田中仁史|企画演出
2004年入社
テレビCMやWebムービーの企画や演出を行いながら、ARやVRなどのデジタルコンテンツのプランニングと演出にも従事。 -
角井佑花里|デザイナー
2014年入社
コーポレートサイトやSNSキャンペーン、3D制作など、幅広い案件でデザイン制作・アートディレクションを担当。 -
秋光麻衣|プロジェクトマネージャー
2014年入社
WebサイトやSNSの企画を中心としたディレクションを担当。本案件ではプロジェクトマネージャーとして、制作全体の企画と進行に従事。 -
谷﨑文香|ゴリッゴリの美少女プログラマー
2017年入社
AR・VRを中心に体験型コンテンツのプログラム制作を担当。オンラインで体験できる3Dバーチャル空間の実装なども行う。
「AR絵本」という新しい形
- 案件が始まった経緯を教えていただけますか。
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田中 まず2019年の8月、動画の案件でJAXAさんと一緒にお仕事をさせていただく機会があったんです。月面探査を分かりやすく紹介するという内容だったのですが、そこで作った探査マシンや宇宙の世界観を、何か別のコンテンツに落とし込めないか、という考えがありました。そこで絵本とARを組み合わせて提案したところ、賛同いただいてスタートしました。
- ARと絵本を組み合わせるという発想は、もとからあったのでしょうか。
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田中 社内で絵本を制作している案件があって、それが最初にアイデアとしてありました。でもせっかくならもっと工夫をしたいなと思って、ビービーメディアで多く実績のあるARと掛け合わせて。以前プログラマーの谷崎と一緒にVRのコンテンツを作ったことがあり、とても良いものが作れるという確信があったというのもひとつの要因ですね。
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角井 私は動画のときからデザイナーとして案件を担当していたんですが、動画が完成したくらいのタイミングで田中さんから「新しく絵本を提案したいから、デザイン作れる?」って話があって。たまたまその時に手が空いていたので、提案用のデザインをすぐ作ったら、そこから数日後に「いい感じだったよ」って連絡がきて。本当に田中さんの動きが素早かったですね。
メンバーの興味を大切に
- 絵本の内容はどのように形にしていったのでしょう?
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田中 最初は月面探査機が着陸するようなARの動きとか、塗り絵で塗った探査機がARで飛び出す、というコンテンツを考えていました。そこから改善を重ねて、秋くらいに月探査の道のりを絵本でナビゲートするという、今の形に企画が固まって。12月あたりから、本格的に絵本やARの制作を進めていきました。
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谷崎 進める上でもっと人員を増やさなきゃ!ってなったときに、「秋光さんが宇宙に詳しいらしいよ」って話があったんですよね。
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秋光 なので私が入ったときには絵本の大枠が決まりつつあり、これから具体的に絵本の展開とARアプリを制作していくという段階でしたね。
初めての挑戦
- 進める上で大変だったことはありますか?
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秋光 ビービーメディアとして、BtoCは初めてのチャレンジだったので、その大変さはありました。メンバーそれぞれが、自分の領域外まで協力して進めた感じです。例えばプロデューサーが在庫管理をしたり、デザイナーが3Dモデリングを作成したり。私も、書籍を世に出すため日本図書コード管理センターに何度も問い合わせたりしました。(笑)
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田中 あとは、もともとイベントやリアルの店舗で絵本の販売をしようとしていたんですが、新型コロナウイルスの影響でそれがすべてできなくなってしまって。販売方法も直接ではなくAmazonから出品してオンラインに変えたりとか、録音や読み合わせもリモートでやるとか、その時々で工夫をしていきました。
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角井 みんなで読み合わせをするのは、もともとCM制作のやり方なんですよね。私はWeb制作の案件に関わることが多いので、今回初めて読み合わせをしたんです。「~。かっことじ」みたいな、細かいところまでちゃんと声に出して全員でチェックして。CMとWebの、それぞれの経験が活かされているなぁという感じはありました。
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田中 そうそう、僕は逆に、普段Webに関わっているメンバーは仕事がすごく細かくて丁寧だなと感じましたね。イレギュラーなことも多かったんですが、それぞれのバックグラウンドがうまく作用したと思います。
細部のこだわり
- 制作において、特に力を入れたのはどういうところですか?
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谷崎 ARだと、オブジェクトの質感ですね。角井さんが作ったデザインがとてもかわいかったので、それに負けないようにこだわって作りました。
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田中 谷崎がすごいのが、「これできる?」っていうと、「できません」って言わないんですよ。
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谷崎 そうですね。自分の技術の範疇であれば、「できません」とは絶対に言いたくないんです。例えば頼まれたことがWebフロントエンジニアの領域だった場合は、自分の技術の範疇ではないので、その技術に詳しい人に依頼をします。ですが難しい内容であっても数%の可能性があれば、まずは「やってみる」と言います。田中さんとか、自分にないアイデアを出してくれるんですよ。私はそういうアイデアとか、もっとこうしたい!っていうのがあまり思いつかないから、皆さんの思い描いているものを技術で形にすることに全力を尽くしています。
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角井 デザインだと、3Dモデリングですね。今回、私がデザインからモデリングまでほとんどすべてを担当したのですが、3D制作を仕事で行うのは初めてだったんです。3D制作の指示出しは、どうしても抽象的になってしまって伝えづらいところがあるので、自分で作れるようになったのは大きな成長だと思います。それに、自分の作ったものが一般のお客様に、子どもたちに手に取ってもらえるっていうのは、デザイナーとして嬉しいところでもありますね。
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谷崎 角井さんを見ていて、デザイナーがモデリングをできると、より精度の高い3Dができると感じました。デザイナーとしての造形的な視点があるので、形やテクスチャもクオリティが高いものに仕上がったと思います。
チームの力とこれから
- この案件では、社内で総勢20人くらいの人が関わっていると伺いました。
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角井 そうですね、こんなにいろんな部署をまたいだ案件って他にないと思います。私たち以外にも、コンテを書いてくれたり、コピーを確認してくれたり、モックをやってフィードバックをくれたりとか、本当にたくさんのメンバーが関わってくれて。やっぱりそれは、「いいものづくりをしたい」っていう気持ちがあるんだろうなと。みんなクリエイター気質だなぁって思いました。
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田中 すごい協力的でしたね。
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秋光 そういうところは、ビービーメディアならではですよね。
- 最後に、皆さんが今後やってみたいことを教えてください。
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田中 まずはこの絵本をもっと広めて、いろんな人に体験してもらいたいというのがありますね。その上で、この案件で得た知見やノウハウから、また何か新しいコンテンツに展開していければいいなと思っています。先ほども話に出ましたが、会社として一般のお客様にモノを販売したのは初めてでしたから。顧客目線に立つことの大切さや販売の難しさなど、新しく学んだことは多かったんですよね。今回の経験を元に、チームの力を発揮して更にいいものを作っていきたいです。
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谷崎 私は、常に自分がやったことがないことをやりたいと思っています。ビービーメディアのみんなで一緒になって取り組むと、すごくいいものができると思っているので。これからも日々新しいことに挑戦していきたいですね。
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角井 今回の案件って、いろんな部署の人が集まってチームになるっていう、横のつながりが強いビービーメディアの旨味が詰まったものだったと思うんです。だから、今後もっとこういうプロジェクトが生まれていくといいなぁと思いますね。きっと、すごく面白い、いい化学反応が起きるんじゃないかと思います。
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秋光 私は、本が世に出て、今ようやくスタートラインに立ったようにも思います。「自社でモノを作って売る」という経験は、普段広告制作のお仕事ををいただいているクライアントさんの立場を体感することでもあり、代えがたいものです。だからこそ、絵本がリリースしたこれから、もっと広めていくにはどうすべきかを考えることで、経験を積んでいきたいですね。なので、ここからがまた新しいチャレンジです!